第17回:組織における権威

今回は、組織における権威についてご説明します。

組織論研究の第一人者のバーナードは、権威について、「権威とは公式組織におけるコミュニケーションの性格」と述べています。というのは、権威は、公式組織の中でけでしか発揮されないということです。例えば、会社の社長の権威は、会社の中でしか効力がありません。

また、バーナードは、「組織の構成員は、組織に関する自分の行動を決めるものとして、権威を受容する」と述べています。すなわち、命令を受ける側が、権威を受容しなければ、命令には従わないということです。

そして、バーナードは、個人が権威を受容するときの条件を4つあげています。命令がそれらの条件に合わなければ、組織の構成員は命令には従いません。

詳しくは、番組をお聴きください。

また、「図解でわかる経営の基本いちばん最初に読む本」をお持ちの方は、第2章第6節「組織における権威とは」(44ページ)もご参照ください。

第16回:公式組織と非公式組織

今回は、公式組織と非公式組織についてご説明します。

「非公式組織」とは、バーナードが考え出した概念で、「個人的な感情などによるつながり」のことを言います。ちなみに、バーナードのいう「組織」は、この非公式組織に対して「公式組織」といいます。

非公式組織を具た例でいうと、職場で、お昼休みに、気の合う人たちと食事をすることがあると思いますが、その気の合う人たちのことが非公式組織です。この非公式組織は、公式組織とは違い、共通目的は持たず、また、非公式組織に属する個人が組織としての人格ではなく個人の人格のまま行動します。

そして、この非公式組織があることによって、お互いが打ち解けて話ができたり、信頼関係ができあがったりしますので、公式組織の活動に大きく影響します。したがって、経営者の方は、この非公式組織をうまく活用して、公式組織の活動が活発になるようにする工夫をするとよいでしょう。

詳しくは、番組をお聴きください。

また、「図解でわかる経営の基本いちばん最初に読む本」をお持ちの方は、第2章第5節「公式組織と非公式組織の関係とは」(42ページ)もご参照ください。

第15回:有効性と能率、誘因と貢献

今回は、組織の有効性と能率、および、誘因と貢献についてご説明します。

バーナードは、組織の3つの要素が、組織の成立に必要なものであることから、組織の3つの要素が維持できるよう、組織と組織の外部の状況との関係を調整し均衡させなければならないと述べています。これに関し、バーナードは、「有効性」と「能率」という考え方を使って説明しています。

まず、有効性とは、組織の目的を達成する能力や度合いを指します。組織は、共通目的があることで成立しているわけですから、目的が達成できない状態のときや、目的が達成してしまったときは、組織が存続する意味もなくなります。

つぎに、能率とは、組織の維持に必要な貢献を得るための誘因を提供する能力のことです。能率の具体的なものは、会社でいえば、従業員への給与などの金銭的な誘因だけでなく、地位、やりがいといった、非金銭的な誘因も含まれます。

例えば、給与が少ない会社(=能率の低い会社)は、金銭的な誘因が低いために、従業員の士気がさがったり、退職されたりする可能性が高く、会社の事業に悪い影響を与えることにつながります。そこで、経営者の方は、給与を高くしたりやりがいを与えたりして、従業員の士気をあげたりする必要があります。

とはいえ、従業員の給与を高くするだけでよいのかというと、そう単純なわけではありません。給与を高くし過ぎた結果、会社が赤字になってしまえば、投資家が出資してくれなくなったり、銀行が融資をしてくれなくなったりします。そこで、従業員の給与を上げる代わりに非金銭的な誘因を増やしたりするといった工夫が求められます。

そして、このような、有効性、能率、誘因と貢献のバランスをどのようにとるか、すなわち組織の均衡を図ることは、経営者の重要な役割です。

詳しくは、番組をお聴きください。

また、「図解でわかる経営の基本いちばん最初に読む本」をお持ちの方は、第2章第4節「組織を調整し均衡させるためにはどうするか」(40ページ)もご参照ください。

第14回:組織の3要素

今回は、組織の3要素についてご説明します。

バーナードは「お互いに意思を伝達できる人々がいて、その人々は活動することによって貢献しようとする意思を持ち、共通の目的を成し遂げようとするときに、組織は成立する。したがって、組織の要素は、コミュニケーション、貢献意欲、共通目的である」と述べています。

組織は、ひとりでは達成できないことを複数の人が集まって成し遂げるときに必要とされるものですから、まず、その集まった人々にとっての共通の目的があるということになります。そして、その共通の目的を成し遂げるために人々が集まるわけですから、その人たちが自分を犠牲にして目的達成のために貢献しようとする意思があるということになります。

そして、共通目的と貢献意欲の間に入り、両者を結びつけるものがコミュニケーションであるとバーナードは述べています。すなわち、共通目的がどういうものかがコミュニケーションによって人々に伝わらなければ、貢献意欲は得られないということです。

詳しくは、番組をお聴きください。

また、「図解でわかる経営の基本いちばん最初に読む本」をお持ちの方は、第2章第3節「組織の3要素とはなにか」(38ページ)もご参照ください。